こんにちは、すきとほるです。
研究職として活躍するためにどんなコミュニケーションが必要ですか?
そんな疑問にお答えします。
研究者というと周囲の人からは距離を置き、黙々と自身の探究心を突き詰めていくというイメージを持つかもしれません。
ところがどっこい、大学だろうが企業だろうが、研究職も組織人です。
ですので、他の人たちと共同で仕事をします。
きちんとコミュニケーションが取れればプロジェクトも快適に進むでしょう。
反対に、コミュニケーションが取れなければあなたの専門性がどれだけ高かろうと、それは十全に発揮されはしないでしょう。
ですので、たとえ研究者だとしてもコミュニケーション能力を養う必要があるわけですね。
この記事では、実際に私が企業研究職として行ってきた成果に繋がるコミュニケーションを、再現可能性に重点を置いてお伝えしたいと思います。
「あなたが他の研究職よりも一歩前に進むため」の秘訣をお伝えします。
ちなみに私は企業研究職になり2年とちょっとですが、この秘訣を使って以下の成果を出しました。
- 入社一年の評価で全社員の数%がもらえる特別優秀者ボーナスをゲット
- 筆頭著者としてリードした研究が特定分野のリーディングジャーナルに掲載
- さらに、社内のBest Publication賞を受賞
- 研究職としての2度の転職で、合計1,000万円の給与アップ
これから以下の秘訣を詳しく解説します。
- プロジェクトで協働する他部署メンバーとは積極的に交流
- 誰でも分かる言葉で話し、専門性を押し付けない
- 部署間の価値観の違いを理解する
- その研究が進むべき道を明確に示す
- 責任を取る意思を明確に示す
本ブログは、私個人の責任で執筆され、所属する組織の見解を代表する物ではありません
①プロジェクトで協働する他部署メンバーとは積極的に交流
研究職が関わるのは同じ専門性を持つ研究職だけではありません。
一つのプロジェクトには様々なバックグラウンドを持つメンバーがいろんな部署から参加します。
そのような多様性の中でプロジェクトをリードする研究職に大切なことは、「他部署のプロジェクトメンバーからの信頼を得る」ことです。
同じ部署、同じ専門性を持つもの同士であれば、過去の業績や普段の会話から、「お、この人はここら辺までできるのか」という感覚が得られるでしょう。
しかし、専門性が変われば話す言葉もまるで変わりますから、その方法で他部署のプロジェクトメンバーの信頼を勝ち取ることは難しい。
長らくプロジェクトでご一緒していれば、いつか「あ、この人は信頼できるな」という感覚が伝わるかもしれません。
しかし、そんな悠長なことをしていてはプロジェクトは前に進まず、成果物のクオリティは下がってしまうでしょう。
ですので、研究職としてまず勝ち取るべきは「専門家としての信頼」ではなく、「人間としての信頼」です。
「人間としての信頼」を勝ち取り、「専門性のところは良くわからないけど、この人が言うなら大丈夫だろう」と思ってもらえるだけの信頼関係を築くのです。
専門家として信頼されるのは、その後。
プロジェクトの数を重ね、成果を出せば、「この人の言ってたことはやはり間違ってなかった」という感覚を持ってもらえます。
積極的に交流するために私が実際にやっているのは、
- よくお付き合いのある部署のメンバー全員と1対1の自己紹介ミーティングをセット
- 会社で会った際には自分から挨拶
- ランチや飲み会も自分からお願いする
- そのなかで専門家っぽいめんどくさいことは一切言わない
です。
まぁ古典的なコミュニケーションですが、しっかり会って、顔を見て話して、相手の話を傾聴して、それを重ねることで形成される信頼関係は、とても強固なものだと思います。
②誰でも分かる言葉で話し、専門性を押し付けない
プロジェクトで協働するメンバーはあなたとは全くバックグラウンドが異なります。
ですので、あたなが普段話すように話しても、相手は混乱するばかりです。
そうすればプロジェクトメンバーの心は離れ、「良くわからないことを長々と話してる面倒な人」というイメージを持たれてしまうでしょう。
ですので、プロジェクトメンバーに対してあたなの専門性を説明したり、プロジェクトの中で研究の話をする際には、あなたの話を3段階は噛み砕き、中学生でも理解できるように落とし込みましょう。
そして話にはユーモアをこめて、聴いている相手が楽しめるように。
専門外の方にとって、専門家の話をそのまま聞くと言うのは地獄の苦しみを伴います。
話しながら相手の反応を伺い、
「私の言葉は相手に届いているのか?」
「どんな表現をすれば少しでも楽しく聴いてくれるか」
そうしてすかさず話の具体度や方向性を修正していくのです。
あなたがそうして相手に寄り添う態度を示せば、相手もまた歩み寄ってくれます。
プロジェクトをしていると、専門家であれば「全然自分の言うことの重要性が理解されない」という壁ぶつかるでしょう。
そんなとき、聞き手を責めてはいけません。
非専門家に理解してもらうことも含めて、専門家の責任です。
③部署間の価値観の違いを理解する
あなたの専門分野にとって大切なことでも、専門外の方からすればどうでも良いこと、そんな状況は沢山あります。
たとえば、製薬企業で薬の有効性を確かめる研究をする場合、
疫学専門家であるあなたにとっては最善の研究デザインを組むことが大切かもしれません。
しかし、チームを組む他部署のメンバーの中には
「少しでも早く論文を出版することが大切」
「良い効果を出して薬の販売を促進する方が大切」
「一緒に研究する臨床のリーダーとの関係性を維持する方が大切」
など様々な価値観があるでしょう。
その中には、「これを受け入れることは研究職としての倫理に照らして許容できない」という価値観もあるかもしれません。
そんな時も、頭ごなしに「ありえない」などと価値観を否定してはいけません。
あなたが相手の価値観を否定すれば、相手もまた「研究の質を上げる」というあなたの価値観を否定するでしょう。
そうなればチームは瓦解し、プロジェクトで成果を出すなどという次元からは遠ざかります。
「相容れない」、たとえそう思ったとしても反論したい気持ちをグッと堪えて、その意見の背景にどんな価値観があるのか、耳を傾けるのです。
その上で、「なぜこうすることが研究にとって大切なのか」ということを、少しでも相手が受け止めやすい表現に翻訳して、説明を尽くしましょう。
④その研究が進むべき道を明確に示す
非専門家からしてみれば、研究にたずさわるというのは突然知らない場所に放り出されて、「方法は教えないけど、なんとかしてこの場所に辿り着け」と言われるようなものです。
ですので、専門家であるあなたが明確に進むべき道を指し示さねばなりません。
- その研究の目的は何なのか
- どのような手続きが発生しうるのか
- 予算はどれくらいなのか
- タイムラインはどうなっているのか
- その研究に潜むリスクは何なのか
- 誰だどのタスクをやる必要があるのか
などですね。
ただし、人として十分な信頼性を築く前にこれをやってしまうと、あなたの言葉はあまりプロジェクトメンバーの耳には届かないでしょう。
バランスが難しいですが、事前の仕込みとしてプロジェクトメンバーとはしっかりと関係性を気づいておき、「自分の言葉を受け取ってくれるかな?」という確信がもてた段階で、積極的にプロジェクトの進むべき道を示すようにしましょう。
⑤責任を取る意思を明確に示す
あなたの専門性において、そのプロジェクトで意思決定をせねばならぬのはあなた自身です。
たとえば、このような話し方をする研究職をあなたは信用しますか?
ここはA案で行くべきだと思います。でも、決めるのは皆さんです。
私たちは専門外なので決められません、すき太郎さんが決めてくれますか?
私はA案が良いと思いますが、でも決めるのは皆さんなのでお任せします…
こんな体たらくでは、誰も専門家としてのあなたを信用しないでしょう。
専門家とは自身の責任においてその分野の意思決定をする人。
責任のない専門性など存在しないと私は思っています。
だから、プロジェクトにおいてあなたが自身の専門性に基づいた提案をする際には、常に責任を取る覚悟を持って提案すべきです。
プロジェクトメンバーからの信頼は、そうして腹を括った態度を示すからこそついてくるのでしょう。
終わりに
いかがでしたでしょうか?
専門家同士でチームが構成されるアカデミアと違い、企業研究職が共同するのは非専門家、もしくは異なる専門性を持つ他部署のメンバーです。
使う言葉も、価値観も違う。
そんな中で、あなたが研究職としてプロジェクトをリードするためには、コミュニケーションの努力をせねばなりません。
一人ひとりのチームメンバーと丁寧に信頼関係を築き、「こいつの言うことだったら聞いてやってもいいか」、そう思ってもらえるような研究職を目指しましょう。
企業研究職の働き方について、他の記事でも解説していますのでぜひ併せてお読みください^^
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私は外資系企業と国立大学の研究者として活動しておりますが、それ以前はブラック企業に勤める社畜として上司に怒鳴られる日々を送っていました。
「強く生きるには専門性だ」
そう一念発起し、大学院の修士課程に通い、そこから2年間で企業研究職してのキャリアにルートインし、2年で年収を1,400万アップさせることができました。
こちらのnoteでは、「専門性が欲しい」と願う方々に向けて、「専門性ゼロから初めて、どのように起業研究職になり、さらに最短最速で出世するか」というノウハウを解説します。
私自身が未経験から2年間で外資系企業の疫学専門家に、さらにそこから1年でグローバルチームの管理職になるまでに積み重ねた経験、ノウハウの全てをお伝えするつもりで書き綴っています。
「これを読めば、企業の専門家として活躍するために必要な知識は全て揃う」
その気合いで、私のノウハウを全てお伝えします。
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