【研究者が解説】大学院の研究室えらびを成功させる5つの鉄則

 

こんな人におすすめの記事です。

  • 卒論や大学院で所属する研究室をどう選んだらいいかわからない
  • いきたい研究室があるけど、ほんとにそこで良いのか確信が持てない

 

こんなお悩みを解決します。

『研究室って星の数ほどあるけど、どうやって選べばいいの。入ってから後悔はしたくない!』

 

この記事では国立大学の研究員として働く私が、「あなたの夢を実現するための後悔しない大学院の選び方の鉄則」を分かりやすくお伝えします。

 

 

一度入ったら気安く変えられないからこそ、絶対に後悔のない方法で選びたいよね

 

本ブログは、私個人の責任で執筆され、所属する組織の見解を代表する物ではありません

  

  

  

何よりもまず業績を確認しよう

  

研究室を選ぶ上でもっとも大切なもの、それは「業績」です。

  

業績とは英語論文の出版数、そして掲載された雑誌の質のこと。

  

私たちが研究室に所属するのは、とうぜんながら研究を学ぶためです。

ならば、所属すべきはしっかりと研究を行っている研究室しかありません。

  

研究室の業績があるならば、それはその研究室がしっかりと研究を推進している可能性を示唆しますし、反対に業績がなければ研究室としての実力が活動が怪しまれます。

  

 もちろん例外はありますが、基本的には「業績がある=積極的に研究をしている研究室」という理解で良いでしょう。

  

  

研究室を選ぶ動機はさまざまです。

  

教授の人柄が素敵。

自分のやりたいテーマに一致している。

憧れていた大学にある。

  

しかし、「業績がある」というファクターはそれよりも先んじる、大前提なのです。

  

まず最初に「業績がある」という圧倒的なファクターがあり、それを突破した研究室だけがそれ以外のファクターでアセスメントの対象になるのです。

  

  

では、どのようにして研究室の業績を確かめれば良いのか、その方法を紹介しましょう。

  

  

研究室ホームページの業績一覧に掲載されている論文数を見る

気になる研究室があるんだ、まず何から調べれば良い?

何よりも先に研究室HPの業績一覧を見るんだ

  

その研究室の業績を最も雄弁に語るもの、それはホームページの業績一覧でしょう。

  

そのページをひらけば、年度ごとに何本の論文が、誰により、どの雑誌に掲載されたのかが一目瞭然です。

  

そして、もっとも簡単な業績の評価方法が論文数です(落とし穴もあるのであとで解説します)。

  

まさに研究室の戦闘力スカウターのようなものですね。

  

ただ、研究室によってはホームページそのものが存在しない、もしくは存在はするが掲載論文を随時アップデートするほど更新していないというところもあるでしょう。

  

すきとほるとしては、これも危機感知センサーが反応するポイントです。

  

  

✅ ホームページが存在しない場合

いまどきホームページを持っていない研究室は、よほど対外コミュニケーションに興味がないか、作るだけの余力がない研究室です。

  

研究者にとって論文業績は最も大切な指標ですので、そこを表に出さないというのはポジティブな印象には繋がりにくいですね。

  

  

✅ ホームページが更新されていない場合

同じく、掲載された論文があるのにそれをホームページ上で更新しない理由はあまりありません。

  

ですので、ホームページが更新されていないのなら、本当に論文が出ていないか、それとも更新するだけの技術が研究室にないという場合が多いかなと思います。

  

  

  

掲載されている論文の掲載Journalを確認する

研究室の業績は、論文の数だけでは決まりません。

  

なぜなら、掲載される難易度は学術誌によって天と地ほども差があるからです。

  

例えば、医学雑誌で言えばLancetやBMC, New England Journal of Medicineのように掲載されれば一生自慢できるような一流誌があります。

  

一方で、ハゲタカジャーナルと呼ばれる掲載費さえ払えばろくに査読もせずに論文を掲載させてしまうような学術誌もあります。

  

  

ですので、その研究室がどんな学術誌に論文を掲載している傾向があるのかはしっかりとチェックしましょう。

  

Impact Factorと呼ばれる、学術誌の戦闘力のような指標があります。

  

学術誌に掲載された論文がどれだけ引用されたかを示す指標だよ(沢山引用されていれば、引用されるほど良い論文を掲載した学術誌ということになる)

  

Impact Factorは決して全てではありませんが、やはりImpact Factorの高い学術誌ほど掲載難易度が高い傾向にあるというのも歴然たる事実です。

  

各分野の学術誌のImpact Factorランキングはネットで調べれば出てきますので、「どの学術誌が競争率が高いのか」という知識を仕入れ、その上で研究室の業績一覧にある論文たちの掲載先を確認してみましょう。

  

  

ただし注意点が一つ。

この世には”Open Journal”と呼ばれるタイプの学術誌があります。

  

Open Journalは、著者が掲載料を払う代わりに、掲載された論文を誰でも読めるようにフリーアクセスにするJournalです。

  

フリーアクセスになりますので、当然引用はされやすくなり、結果としてOpen JournalのImpact Factorも高くなりがちです。

  

なので、Non OpenのJournalとOpen Journalの間でImpact Factorを直接比較するという見方は推奨されません。

  

  

これは個人的な印象だけど、OpenとNon Openだと後者の方が査読が厳しくなりがちなので、私は後者に論文を掲載する方が難易度が高いかなって感じてるよ

  

  

  

論文の著者が誰かを確認する

どれだけの論文を、どの学術誌に掲載しているかに加えて大切な点は「誰が書いているか」です。

  

私たちは学生として研究室に所属するわけですから、筆頭著者が在学生・卒業生である論文が多いほど「学生に主体的に研究させて、業績を積ませる研究室」である可能性が高くなりますね。

  

  

残念なことに、研究室によってはちょっとズルいことをして業績を増やすところもあります。

  

たとえば、研究室の外部の人が主力となって書いた論文の共著者として研究室の誰かが入っていれば、自分の研究室の業績としてホームページに記載するなど。

  

もちろん共著者として貢献して論文に名前が載るのは良いことですが、自分の研究室のメンバーが書いた論文よりも外部の人が主力となって書いた論文の方が数が多いとなると、話は別です。

  

なので、研究室の論文の筆頭著者、最終著者、責任著者がその研究室のメンバー、できれば学生である論文もしっかり出版されているかどうかもチェックしましょう。

  

  

  

  

在学生に聞いて研究室の雰囲気を確認しよう

  

さて、業績が確認できたら次は「研究室の雰囲気」をチェックしましょう。

  

人によってパフォーマンスを出しやすい雰囲気はさまざまですね。

そして、研究室の雰囲気もさまざまです。

  

  • 業績は詰めるけど超ストイック
  • 教員に指導する気がなく、学生を放置する
  • 院生同士がすごく険悪で、まったく会話がない
  • 教授が平気で学生に暴言を吐く

  

などですね。

  

こればかりは教授の人柄次第ですので、実際に在学生にヒアリングするしかありません。

  

外面は良いけど学生には超辛辣みたいなタイプの人もいるから注意だよ

  

  

できるだけ信頼できる先輩を見つけて、酸いも甘いも語ってもらうしかありません。

  

私がヒアリングするとしたら、チェックポイントはこんな感じ。

  

  1. 教授が学生指導する時の雰囲気は?
  2. ドロップアウトする学生はいる?その理由は?
  3. 平日と休日のスケジュールはどんな感じ?
  4. 研究室のイベントはどんなのがある?
  5. 学生同士の仲はどんな感じ?

  

外部の評判は良いけど内実はアカハラの嵐で、メンタルブレイクする学生が多数なんて研究室もザラにあるから、本当に慎重にチェックしよう

  

  

  

  

卒業生の進路を確認しよう

  

研究室に入った後、必ず訪れるもの、それは卒業。

  

あなたが意識しようがしまいが、卒業研究室はあなたの卒後の進路に大きく影響します。

  

たとえば、アカデミアのネットワークが強い教授であれば、卒後のアカポジを獲得する上で力になってくれるかもしれません。

  

同じように、海外とのネットワークを持つ教授がいれば、留学という選択肢も見えてくるかもしれませんね。

  

また、企業就職にしても企業から見て「この先生の研究室を出ているなら、研究者としての腕は確かだろう」という研究室は存在します。

  

もっと直接的にいうと、「この先生との繋がりは貴重だから、そこの卒業生に来てもらえるのは嬉しいな」ということも。

  

卒業生があなたの希望する就職先に沢山いるならば、力になってくれるかもしれないしね

  

  

研究室に入る際には、それを出た後にどこに行くか、つまり出口戦略まで見据えて入らねばなりません。

   

  

何となく研究室に入って、何となく研究して、それで卒後に望むキャリアを手に入れられる人なんて、よほど幸運でハイスペックな人間だけです。

  

なので、研究室に入る際には

  • この研究室を出た後にどこに行くか
  • その上でこの研究室をどう活用することができるのか

  

ということを必ず明確に意識しましょう。

  

  

  

  

研究室のルールを確認しよう

  

研究室にはルールというものがあります。

  

そして、あなたの生活がそのルールにマッチしていなければ、研究室ライフは苦しみの多いものとなるでしょう。

  

私がこれまでに見聞きしたことのあるルールはこんな感じ(私は経験していませんが)。

  

  • 研究室に滞在必須のコアタイムがある
  • 特定の曜日は英語オンリーで話す
  • 研究テーマは教授が指定したものしか許されない
  • 休日も研究室に来なければならない
  • 博士に進学する者しか修士では採用しない
  • アルバイトやインターン禁止
  • 研究に必要はお金は全て自分で何とかする
  • 就活禁止(博士進学以外認めない)

  

などですね。

  

研究室の中には「ブラック研究室」と呼ばれるほど不条理なルールを強いてくるところもあります。

  

そしてブラック研究室は、あなたが想像するより身近にあります。

  

間違えて進学して大学院生活が台無し、メンタルブレイクして退学なんて話は恐ろしいほどよく聞くから、まじで気をつけろ

  

  

  

  

教授の研究費の獲得状況を確認

  

教授の研究費が学生になんか関係あるの?

大ありだよ!
教授の研究費で研究室は運営されてるんだから、そこのお財布事情は研究室の生活にダイレクトに影響するぞ!

  

  

あなたは考えたことがあるだろうか、

  

学会発表の渡航費がどこから出るかを…

論文の英文校正費がどこから出るかを…

研究に必要な備品や書籍の購入費がどこから出るかを…

  

教授ががっつり研究費を獲得していて、潤っている研究室であれば教授の財布で全てを賄ってくれるかもしれません。

  

そうじゃなければ?

  

そう、もちろん払うのはあなた以外にはいませんね。

  

あなたが自分で研究費を獲得するか、それができなければポケットマネーで払うのです。

  

  

研究者が獲得している公的研究費は全てネットで確認できます。

  

「教員の名前 研究費」で検索すれば、日本の研究.comあたりがGoogle検索の一番上に出てくるはずなので、クリックすればOKです。

  

  

  

  

終わりに

いかがでしたでしょうか?

  

あなたの研究室選びを成功させる5つの鉄則を紹介しました。

  

ちなみにTwitterではこんな意見も頂戴しました。

  

  

  

こちらの記事では社会人大学院にフォーカスした大学院選びのポイントを解説しています。

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終わりに

私は外資系企業と国立大学の研究者として活動しておりますが、それ以前はブラック企業に勤める社畜として上司に怒鳴られる日々を送っていました。

    

「強く生きるには専門性だ」

    

そう一念発起し、大学院の修士課程に通い、そこから2年間で企業研究職してのキャリアにルートインし、2年で年収を1,400万アップさせることができました。

    

こちらのnoteでは、「専門性が欲しい」と願う方々に向けて、「専門性ゼロから初めて、どのように起業研究職になり、さらに最短最速で出世するか」というノウハウを解説します。

私自身が未経験から2年間で外資系企業の疫学専門家に、さらにそこから1年でグローバルチームの管理職になるまでに積み重ねた経験、ノウハウの全てをお伝えするつもりで書き綴っています。

    

「これを読めば、企業の専門家として活躍するために必要な知識は全て揃う」

    

その気合いで、私のノウハウを全てお伝えします。

    

   

   

   

   

     

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