こんにちは、すきとほるです。
ビジネスキャリアも勉強もどっちも諦めたくない、そんな強欲なアナタにおすすめな選択肢が社会人大学院。
でも、「社会人大学院」と検索すると、予測変換で「意味ない」、「後悔」などと言うワードが。
社会人大学院はキャリアも勉強もどちらも両手取りにできるお得な選択肢。
でもその分、負担も2倍。
だからこそ、いざ入学して「こんなはずじゃなかったのに」と後悔しないための、社会人大学院の選び方をお伝えしたいと思います。
【この記事の信頼性】
筆者は自身も社会人大学院生として博士課程に通い、また大学の仕事で複数の社会人大学院性を指導してきました。
なお、こちらの姉妹記事では社会人大学院のメリット・デメリットを解説していますので、併せてお読みください!
こんにちは、すきとほるです。 「大学院に行って学びを深めたい、専門性を身につけたい」 「でも、家族を支えるためには仕事はやめられない」 社会人大学院への進学を考える多くの方が、[…]
本ブログは、私個人の責任で執筆され、所属する組織の見解を代表する物ではありません
大学の規定をチェックしよう
社会人であろうがなかろうが大学院生は大学院生です。
ではなぜわざわざ”社会人”をつけるのか。
その理由の一つとして、大学側が社会人である学生には特別にルールを設けている場合があるからです。
たとえば、
- 基本的には社会人の入学は禁止
- 就業先から「学業に専念させる」という覚書をもらいなさい
- 社会人は社会人枠で入試を受けなさい
などですね。
入試におけるルール、そして入学後のルール、それらを事前にチェックしておき、「こんなはずじゃなかったのに!」と後悔しないようにしましょう。
就業先の規定をチェックしよう
大学側の規定と同じように、就業先にも大学院進学に関する規定があるはずです。
というのも、就業先からしたら社員が大学院に進学するからには「業務と大学の都合でコンフリクトが生じた時には、大学を優先していいですよ」と腹を括らねばならないからですね。
また、大学で研究を行うことで就業先の守秘義務に抵触してしまうリスクも生じます(たとえば、進学先の研究室が競合他社である企業との共同研究をおこなっているなど)。
大学院進学ってプライベートのイベントだよね?
どうしてプライベートのことまで就業先に干渉されなければならないの?
その通りだと私も思うよ。
「大学院のことで一切仕事には支障は出さない」と100%言い切れるならそのスタンスでいいと思う。
でもやっぱり「仕事時間に大学の授業が入る」とか、
「研究室の業務として、競合他社の企業に関わるようなことになっちゃった」とか、
そうした『就業先のコンプライアンスに抵触する状況』が発生する可能性は十分にある。
だから事前に就業先とはしっかりと合意を形成しておいた方が良いね。
もしかすると、「就業先の許可を取るのが面倒だし、絶対にバレない自信があるから、内緒で進学しちゃおう」という悪巧みが浮かんでくるかもしれません。
でも、就業先に内緒で大学院進学をすることは絶対にやめましょう。
大学院に行けば学会運営などで公に生徒の名前が公表されることもありますし、また論文を執筆して学術誌に掲載された際には、あなたの大学院での所属が一目瞭然で全世界に発信されます。
ですので、検索すれば「あれ、こいつ大学院いってんじゃん!」というのが一発でバレます。
また、あなたの就業先の業務と大学院の研究テーマが近い場合、論文を投稿する際には就業先の所属もしっかりと公開しなければ、COIの非開示という研究不正に見做されてしまうリスクもあります。
残念ながら企業の中には「社会人大学院は基本的には認めない」という自分達の首を絞めるような規定を設けている企業もあります。
その場合は社会人大学院への進学という選択肢はなかなか難しくなってしまうかもしれませんね(個人的には、社員の自己成長を制限するような企業にあまり未来を感じませんが)。
授業カリキュラムをチェックしよう
社会人大学院に通う上で最も負担となるのが授業です(授業を受けるために大学院に通うわけですから、負担という表現が正しいかはさておき)。
規模の大きな大学院でしたら、毎年の授業カリキュラムがオンラインで公開されているはずですので、以下の点を事前にしっかりとチェックしましょう。
- 卒業までに必要な単位数と、それを基に組んだ曜日別のカリキュラム
- 対面授業とオンライン授業の割合
- 授業の録画配信の有無
- 夜間授業の有無
必要な単位数と曜日別のカリキュラム
ちょっと面倒かもしれませんが、その大学院を受験する前から、公開されているカリキュラムを使って、仮の時間割を作り上げましょう。
ただ単に妄想で
「社会人大学院、こなせるかな」、
「まぁ余裕だろ」
と考えていても、社会人大学院の実現可能性はまったく見えてきません。
しっかりと仮の時間割を作り上げて、
「1年目は少し大変だけど、2年目は思ったよりも落ち着いているな」、
「毎日授業漬けかと思ってたけど、意外と授業は週3日くらいなんだな」と負担感を具体化させましょう。
対面・オンライン授業の割合
新型コロナウィルスが流行してから、大学も授業のオンライン化が一気に進みましたね。
これは、仕事の傍らで授業を受けねばならない社会人大学院性には大きな追い風となったと思います。
オンライン授業であれば、
「会社の会議の合間にちょっと別室で受けよう」、
「今日は1時間早めに仕事に取り掛かって、空いた時間を授業に当てよう」
という選択肢も取りうるわけで、その割合が増えれば増えるほど、社会人大学院性の負担は減っていきます。
もちろん対面授業にも対面授業の良さがあるため、「絶対にオンライン授業優先!」というわけではないですが、「仕事をしながら授業を受ける」という点においては圧倒的にオンライン形式に軍配があがりますね。
カリキュラムによっては授業形式を書いてないものもあります。
またコロナの感染状況によって大学ごとの対応も刻々と変化していると思いますので、ここは進学を考えている大学院の教務課に連絡して、現在の実態を確認した方が良いでしょう。
録画配信の有無
社会人大学院の受け入れに力を入れている大学には、録画配信を活用し、ライブタイムで授業に参加する必要がないようにしてくれているところもあります。
私が通っていた博士課程でも殆どの授業が録画配信されており、おかげで仕事のちょっとした合間や、仕事終わりにサクッと授業を受けることができ、本当に助かりました。
聞く必要がないところは飛ばせるし、2倍速で見れば50%の時間で済むし、録画配信さまさまです。
夜間授業の有無
録画配信同様、社会人の受け入れを進める大学では、社会人の仕事が終わった夜間に授業を開講してくれているところもあります(教員からしたらたまったもんじゃない気もしますが…)。
日中の仕事時間を調整する必要がないので、本当に楽でした。
研究室のルールをチェックしよう
研究室はあなたの大学生活で最も長くを過ごす場所ですから、「その研究室がどんなルールで運営されているか」ということも社会人大学院の進学先を検討する上で知っておいた方が良いでしょう。
研究テーマや業績、教授のお人柄などを事前に調べた方が良いのはもちろんですから、ここではそうした一般的なことには触れず、「社会時が大学院にいくならば」という視点に絞った項目を挙げます。
コアタイム(研究室にいなければならない時間)があるか
研究室によっては「8-17時は研究室にいること」のようなコアタイム制を設けているところがあります。
となると就業先とのコンフリクトが生じる可能性が非常に高いので、要チェックです。
研究室運営に関する業務がどのくらいあるか
研究室からしたら大学院生は労働力の一つですから、おそらく多くの研究室が院生に研究室運営への参加をリクエストしていると思います。
たとえば下の学年の生徒の指導、授業の担当、学会や研究室行事の運営などですね。
授業、論文執筆に加えて、こうした研究室独自の運営業務もそれなりのリソースを要しますので、その負荷を確認しておいた方が良いでしょう。
就業先のコンプライアンスに抵触しないか
研究室があなたの本業の競合他社と共同研究を進めている可能性もあります。
たとえば、あなたが製薬社員で薬剤疫学を学ぶために大学院に進学したとしましょう。
その研究室が薬剤疫学の有名研究室だとしたら、日本中のあちこちの企業がその研究室の教員にサポートをもらい、共同研究をしているかもしれません。
そして、こうした共同研究は研究室の労働力である院生にもタスクとして降ってくる可能性があります。
そのような観点から、本業のコンプライアンスに抵触する恐れがないかどうか事前に確認した方が良いでしょう。
そもそも社会人大学院生を受け入れているか
大学の規定をチェックすることをおすすめしましたが、それと同じように研究室の不文律もチェックすることをおすすめします。
大学側が「社会人もいいですよー」と受け入れていたとしても、研究室の教授が「いや、うちは研究にフルコミットする子しかとらないよ」というのであれば、入学試験に合格したとしても、お目当ての研究室には配属してもらえません。
事前に教授に連絡し、研究室として社会人を受け入れてくれるのかどうか確認しましょう。
奨学金・学生サポート制度をチェックしよう
社会人大学院への進学を考える人の中には、パートナーやお子さん、両親を経済的にサポートしているという方もいらっしゃるでしょう。
ですので学費をチェックするのはもちろんですが、それ以外にも学生のために用意されている金銭・生活のサポートをしっかりとチェックしましょう。
学生寮
殆どの大学では学生寮の入居者に経済条件を設けているため、社会人大学院生が入居するのはやや厳しいと思いますが、一応チェックした方が良いでしょう。
奨学金・授業料免除
「収入があると奨学金無理でしょ?」と思われるかもしれませんが、この世には経済状況に関わらず、学生としての期待値を満たすならば支給される給付型の奨学金もあります。
こちらは入学後に探すことになると思いますが、教務課あたりに行けば奨学金情報がまとめてファイルされておいてあると思うので、入学直後に探しに行った方が良いです(意外と締め切り早いので、すぐ行かないとあっという間に期限切れになります)。
また授業料免除ですが、こちらも基本的には経済状況が選考基準に含まれますが、大学によっては業績ベースで授業料を免除してくれるところもあります(私も免除してもらいました)。
ですので、奨学金同様に諦めず、大学にどんな免除制度があるかを確認しましょう。
その他経済的な支援制度
そのほかにも、気の利いた大学であれば英文校正費の補助や、海外渡航費用をサポートしてくれる制度を用意しています。
大学が払ってくれるものをわざわざ自分の貴重な貯金から払う必要もありませんので、しっかりとチェックしましょう。
入試に合格したら、穴が開くほど学生支援課のホームページを眺めると良いと思います。
研究計画を準備しよう
おそらく多くの大学院が入試の要件として研究計画の提出を求めていると思います。
ただ、ここで提出する研究計画がそのまま大学院の課題論文の計画としてストレートに使えるという方は殆どいないでしょう。
あくまでも「こんなことに興味があります」ということと、研究計画を立てられるだけの最低限の基礎学力があるかどうかを確かめるのが入試時点の研究計画の目的だと思います。
入学後はそこからさらに研究テーマを絞り込み、研究の実現可能性をチェックし、授業で得た知識をもとにサイエンスとして耐えうる研究デザインを立案していくことになります。
しかし、社会人大学院生はとにかく時間がない。
フルタイムで研究にコミットできる一般の学生と同じ感覚で大学院生活を送っていると、課題論文の提出期限に間に合わなくなる恐れがあります。
本業と大学院で50%ずつの時間を使うとすると、単純に計算してフルタイム学生の2分の1しか時間を使えないわけですからね。
私が知るだけでも、「研究テーマが全然決まらなくて、ずるずると留年してしまった」という社会人大学院生が何人もいます。
ですので、社会人大学院生活を成功させる鍵は「入学までにどれだけの準備ができるか」という点に尽きると私は思っております。
これは進学する大学院で必要とされる基礎知識がどれだけ備わっているかによりますね。
スタートダッシュを切れるよう、入学試験で作成する研究計画の完成度をあげておきましょう。
例えば、修士課程を同じ専門分野で学び、既に論文を複数書いている方であれば、博士課程で社会人大学院にあたってそこまで入念な準備はいらないでしょう。
一方で、全く新しい分野で社会人大学院に進むとなると、ゼロから勉強する時間を確保せねばならないので、本当に大変です。
そんなこともあり私の個人的な意見としては、社会人大学院は修士をフルタイム学生として過ごし、十分な知識・技術を身につけた上で進学した方が良いと思っています*。
*この意見はサイエンティストとして生きることを目的とした場合の社会人大学院においてであって、たとえばキャリアのために学位をとることが目的なのであれば、その限りではないと思います。
頭も身体も100%その学問分野に捧げて、研究のための脳を作り上げるといいましょうか。
この土台なしにいきなり社会人大学院に進学するのであれば、それ相応の覚悟が必要となるでしょう。
そういう方は、入学前から参考書で勉強を進め、また入試で提出する研究計画の完成度を上げておき、社会人大学院のための準備運動をしておいた方が良いと思います。
気持ち的には「Twitterあたりで進学先の研究室の先輩・卒業生を見つけて、研究計画を見てもらい、研究に耐えうるクオリティになるまでブラッシュアップする」くらいの準備運動をしておきましょう。
英語をマスターしておこう
大学院では英語の読み書きができることが大前提になります(話す聞くはそんなにいらない)。
授業の課題も、研究計画の立案も、すべてが英語の読み書きができる前提で進められますので、「英語大丈夫かなぁ」という状態では相手にならないと思っていた方が良いです。
というか、大学院は英語ではなく研究を学びにいくところですので、英語ができなくて研究の学びまでおろそかになってしまうというのは、機会損失にもほどがあります。
ですので「大学院に入ったら英語も頑張ろう」ではなく、「大学院に入る前に英語で論文を読み書きできるだけの基礎学力をつけておこう」と考えねばなりません。
入学初日に「この授業の課題は英語で提出すること、期限は来週」と言われて「はいはーい」と衝撃なく受け入れられるくらいの頭と心の準備をしておきましょう。
高校レベルの英語がしっかりと身についており、その上で「英語で論文を書く方法が知りたい」という方にピッタリの本がこちらです。
ただ単に【正しい英語】を教えるだけでなく、どう書けば論文がアクセプトに近づくかという【魅力的な英語】まで指導してくれます。
500ページという大ボリュームで英語論文の書き方の全てを解説してくれており、まさにAll in One、この一冊さえあればOKという優れものです。
メンタルを整える
社会人として大学院に進学しようとすると、どこからともなく聞こえてくる声。
「いい歳してまた学校に行くの?」
「あなたには無理だと思うよ」
「大学院はいいけど、卒業したらどうするの?」
「家族がいるのに、無責任なんじゃないの?」
あんな声こんな声が、あなたを社会人大学院への進学から遠ざけようとしてくるかもしれません。
大丈夫です、全て無視しましょう。
あなた自身がしっかりと社会人大学院に進学することの意義を考え、あなたの一番大切な人が納得してくれており、そして入学試験に合格したのであれば、それが全てです。
あなたの人生に責任を取らない、どこか遠くの第三者の声などに左右される必要はありません。
入試を突破し、
必死に勉強し、
論文を書き、
学位を手にし、
あなたの望むキャリアを実現させる。
10年も経てば、誰が正しかったのかなんてことは、あなたが何も言わずともあなた自身のキャリアが証明してくれているでしょう。
終わりに
社会人大学院を失敗させないための8つのコツをお伝えしました。
仕事や、人によっては護らねばならない家族がいる中で社会人大学院に進学するというのは大きな覚悟がいることだと思います。
自由な時間は削られ、生活費は増え、そして研究のプレッシャーでじわじわと精神も削られていくかもしれません。
社会人大学院は「あれもこれも」という一挙両取り、決して楽な道ではないかもしれませんが、然るべき準備をすれば十分に乗り切れるものだと思いますので、ぜひ頑張ってください。
こちらの記事では社会人大学院をさらに有益な生活にするためのメリット・デメリットを語っております。
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私は外資系企業と国立大学の研究者として活動しておりますが、それ以前はブラック企業に勤める社畜として上司に怒鳴られる日々を送っていました。
「強く生きるには専門性だ」
そう一念発起し、大学院の修士課程に通い、そこから2年間で企業研究職してのキャリアにルートインし、2年で年収を1,400万アップさせることができました。
こちらのnoteでは、「専門性が欲しい」と願う方々に向けて、「専門性ゼロから初めて、どのように起業研究職になり、さらに最短最速で出世するか」というノウハウを解説します。
私自身が未経験から2年間で外資系企業の疫学専門家に、さらにそこから1年でグローバルチームの管理職になるまでに積み重ねた経験、ノウハウの全てをお伝えするつもりで書き綴っています。
「これを読めば、企業の専門家として活躍するために必要な知識は全て揃う」
その気合いで、私のノウハウを全てお伝えします。
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