【研究者が解説】社会人大学院 8つのメリット・デメリット

こんにちは、すきとほるです。

  

「大学院に行って学びを深めたい、専門性を身につけたい」

「でも、家族を支えるためには仕事はやめられない」

  

社会人大学院への進学を考える多くの方が、そうして悩まれることでしょう。

  

わたしの周りでも進学して後悔した人、しなくて後悔した人がたくさんいます

  

 この記事では、実際に博士課程で社会人大学院に通い、また社会人大学院生を複数指導してきた経験を持つわたしが、社会人大学院のメリット・デメリットについて具体的に語ります。

  

・筆者は自身が社会人大学院性として博士課程に通った
・筆者は指導者として複数の社会人大学院性を教育した

 

本ブログは、私が業務上知り得たいかなる情報にも基づかず、一般論もしくは広く公開された情報のみに基づき執筆されています

本ブログは、私個人の責任で執筆され、所属する組織の見解を代表する物ではありません

  

  

  

  

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社会人大学院のメリット

①仕事のキャリアを中断せず進学できる

  

専従で大学院に行くならば、修士2年、博士3年(もしくは4年)ものあいだ仕事から離れねばなりません。

年収800万の方であれば1,600万〜2,400万もの収入を逃したことになります(大学院で身につけた専門性により年収が上がり、減収分が相殺されることもありますが)。

  

特に家族を抱えている方にとっては、入ってくるお金が大幅に目減りする一方で、毎月淡々とお金が出ていくのは超プレッシャーになるでしょう。

  

また、外資系なら3, 4年で昇進する方もいますから、ポジション一つ分の昇進を逃すことにもなるかもしれません。

それでも、元々所属していた会社を休職し、戻る場所がある人は良いでしょう。

  

人によっては退職し、また一から就職先を探さねばならないということもあります。

  

  

社会人大学院なら、そんなキャリアの中断もなんのその!

平時と変わらずに元々の職場で働き続けることができるので、昇進も収入も問題なく確保することができます。

  

ただし、職場によっては社会人大学院に通うことにあまり良い顔をしないところも残念ながらあります。

ですので、禁止されていないとしてもあなたの職場で大学院進学がどう捉えられるかという職場文化はリサーチしておいた方が良いでしょう。

  

 

 

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②仕事で携わるプロジェクトを論文にできる可能性がある

 

これは職場と進学先の研究室に大きく左右されますが、職場で携わっているプロジェクトのデータを使い、社会人大学院性として論文を書かれる方もチラホラいますね。

 

仕事上の評価にもつながりますし、慣れ親しんだ分野のデータを使って研究できますので、より取り組みやすいでしょう。

 

ただこの場合は職場の厳しい社内規定に縛られて、論文の内容、投稿先、著者の決定において不自由な思いをする可能性もありますので、良し悪しがありますね。

 

わたし個人としては、せっかく職場の外に出て大学院に行ったのであれば、職場とは切り離してそこでした扱えないデータで研究をやる方が良いかなぁと思っております。

 

 

 

③仕事で関連する研究室との繋がりを深めることができる

 

これは100%自己研鑽というよりかは、職務も50%くらいかねた目的での大学院進学ですね。

 

理系の仕事をされている方だと、アカデミアの先生方と共同でプロジェクトを行うことはよくあります。

そういった特に関係性を深めたい、専門性を伝授されたい研究室がある場合、国内留学のようなニュアンスで社会人大学院として進学することも珍しくはありません。

 

会社が必要としているど真ん中の専門性が身につきますし、また今後は会社と研究室のハブ人材として活躍することが期待されますので、会社からの評価にもつながりうるでしょう。

 

 

  

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④会社が学費を一部または全額出してくれることがある

 

先に説明したように業務の一環も兼ねて大学院に進学する場合、会社が学費を一部又は全額負担してくれることもあります。

 

大学院の入学金・学費は修士2年間なら

国立:28万・55万×2年

私立:150万×2年

 

くらいが相場ですから、トータルで140万〜300万程度の支出となります。

 

コンサルや金融となると社費留学で海外MBAを取得させてくれるところもあり、総額は2,000万以上となることもザラです。

  

  

業務、もしくは社員の教育の一環とは言え、自分が行きたくて行く大学院の学費を払ってくれるんですから、こんなにありがたい話はないですよね。

  

ただ、社費で大学院に進学するにあたってはもちろんながら在学中・卒後に会社に対する何らかの縛りができる場合が多いと思いますので、そのメリット・デメリットはよく社内規定を読み、慎重に判断した方が良いでしょう。

  

  

  

⑤卒後に職探しをする必要がない

 

①の「仕事のキャリアを中断せず進学できる」とも通じますが、社会人大学院生はもちろん卒後に帰るところが決まっていますので、職探しをする必要はありません。

 

社会人大学院を検討されている方は既に既卒の方ですから、院卒後に就活をするとしたら転職枠になります。

 

修士の場合は新卒が入学初年の夏から就活をはじめるのに対し、転職枠は卒業3~6ヶ月前からの就活スタート(転職は基本的には採用後に迅速なジョインを求められます)になりますから、時間的な余裕は新卒に比べたらあるかもしれません。

 

そうはいっても、大学院の卒業3〜6ヶ月前といえば修論・博論の準備で大忙しのはずです。

 

一方、社会人大学院生の方は転職活動の必要がありませんから、大学院の在学期間を研究にじっくりと充てることができるわけですね。

 

 

 

 

社会人大学院のデメリット

①大学の福利厚生が年収制限で使えない可能性がある

これはメリットの①「仕事のキャリアを中断せず進学できる」の裏返しのデメリットです。

 

大学(私立は規模によるかもですが、国立は必ず)には世帯年収の低い学生のための支援措置があります。

 

たとえば入学金免除、授業料免除、日本学生支援機構奨学金、格安で入れる学生寮などですね。

 

これらの審査基準は基本的には前年度もしくは今年度の見込み年収になります。

世帯全員分の所得証明書的な書類を提出することになるはずです(パートナーが働いていればパートナーの分も)。

 

どれだけ資産があっても、年収が低ければ支援措置の対象になるってちょっと変だよね

 

 

ただ、入学金免除はどの大学もいまは非常に枠が厳しくなっているのであまり期待しない方が良いです。

学生寮に関しては家族がある方は考える必要すらありませんしね。

 

となると注目すべきは授業料免除と日本学生支援機構の奨学金です。

 

授業料は先ほどお伝えしたように

 

大学院の入学金・学費は修士2年間なら

国立:28万・55万×2年

私立:150万×2年

 

で修士2年間でトータル140万〜300万の免除(仮に毎学期免除をゲットできれば)。

 

 

また、日本学生支援機構の第1種奨学金には「特に優れた業績による返還全額免除」というものがあります。

あんためっちゃ優秀だったから、借金チャラにしたるわ!っていうスーパー制度です

 

修士2年間をフルで借りて免除になるとすると、

修士:24ヶ月 × 8.8万円 = 211万円

 

授業料免除と合計すると2年間での最大免除額は

350万〜510万くらいですかね。

 

 

「必ずもらえる!」というものではありませんし、2年分の収入が丸々なくなることを考えると、社会人を辞めてまで大学院に行くほどの金銭的なメリットはないですね。

というわけで、いちおうデメリットに挙げたものの「①大学の福利厚生が年収制限で使えない可能性がある」はそこまで大きなデメリットではなさそうです。

 

 

ちなみに上で紹介したスーパー制度である「日本学生支援機構 特に優れた業績による返還全額免除」についてはこちらの記事で徹底解説しています。

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免除をゲットするコツや、実際にゲットした人たちの申請時点の業績をとっても丁寧に解説していますので、ぜひご覧ください!

 

 

 

②2足のワラジで忙しい

 

社会人と大学院、その2つを同時並行で進めるわけですから、シンプルに負荷は2倍ですよね。

 

私の周りで離脱(休学)していった社会人大学院の方達は、ほとんどが「本職が多忙」という理由によるものでした。

 

ちなみに社会人×子育て×大学院という超ハードコンボをこなしながら通常の年限で卒業されていく方がいます(しっかりと筆頭英語論文をJournalに掲載して)。

 

彼ら・彼女らをみて「私もいけるかも」とは思わない方が安全です。

やつらは超人です。

 

 

2足のワラジの多忙生活を乗り切るために、入学前にできる準備は120%やっておきましょう。

そのために押さえるべきポイントはこちらの記事で紹介しております!

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とはいえ、どれだけ工夫を凝らしたとしても絶対的な活動量が増えることは避けられません。

ある程度は家族との時間、余暇や睡眠などじぶんの時間が減ることを覚悟するしかないでしょう。

 

ただ、だからとって私は「これ以上は無理!」というラインを超えてまで社会人大学院を頑張る必要はないと思います。

 

あえて言うけど、たかが大学院だから!

 

限界が訪れそうだったら、堂々と休学しましょう!

国立大学なら休学中は学費はタダ!

 

授業の単位さえ早めに取ってしまっておけば、あとは論文を書くだけですから休学中でも作業を進めることはできます。

万が一にでも教授に「休学中だから研究室来ちゃダメー!」って言われたらさすがに研究もストップしますが、そんなことを言う教授はちょっと想像できません。

 

 

 

③大学院での学びにフルコミットできない可能性がある

 

大学院での学びは卒業要件となっている授業の単位を取り、論文を書くことだけに止まりません。

 

例えば、空いた時間で所属する研究科以外の授業に出る(特に国立大学は全ての授業がタダで受け放題のサブスク制ですしね)、授業後に教室でだべって学友たちと議論をする、修論・博論以外にも時間の許す限り論文を量産し続ける、などですね。

 

意外と、「やるぞ!」と机に向かった勉強よりも、友人たちとの会話で自然と身についた知識の方が頭に残ったりしますよね。

 

社会人大学院生ともなると、どうしても「仕事の空き時間に学びを詰め込む」というスタイルになりがちです。

とすると、せっかく入学した大学院での学びの深さ・幅が制限されてしまいます。

 

「キャリアアップのためにとにかく学位が欲しい」という方には大きな問題にならないかもしれませんが、「しっかり専門性を身につけて、自立した研究者になりたい」という方には由々しき問題です。

 

 

こうした背景から、私は以下のような戦略をお勧めしています。

 

  1. 修士は社会人ではなく休職・退職して2年間がっつりフルコミットする
  2. 博士は社会人大学院生

 

私は「修士は学ぶべきことを学ぶ場所」、「博士は学びたいことを学ぶ場所」と考えています。

 

学ぶべきことというのは、たとえば医学研究なら疫学・統計学などの方法論、統計ソフトの操作、論文の書き方、英語、疾病・薬剤・医療システムなどのドメイン知識といったように、その分野の研究をするうえで土台となる基礎知識です。

 

こうした基礎知識をしっかりと身に染み込ませていないと、アドバンスドな学びにチャレンジしたところでスルスルと抜け落ちてしまうでしょう。

 

 

ですので、まずは修士はフルコミットの学生として「学ぶべき学び」に専念する。

そして研究者としてある程度は自立して思考できるだけの基礎が身についたら、博士課程は社会人大学生として「学びたい学び」に取り組む。

 

「学びたい学び」というのは、「学ぶべき学び」のうえに乗っかるさらに細分化した専門分野です。

 

 

社会人大学生に限らず、博士課程で躓く方を見ていると、原因が「学士・修士のうちに基礎となる学ぶべきことを学んでこなかった」ということにあることが多い、ということに気がつきました。

 

そりゃそのはずで、博士課程の論文を書くのに今さら「英語・統計が分からないんで、そこから始めます」なんて言っていたらスムーズな勉強なんてできませんよね。

 

 

というわけで社会人大学院生を検討されている方は、まず今の自分に「その分野の研究をする上で学ぶべきことが身についているか」という視点で実現可能性をアセスメントするのが良いと思います。

 

 

 

 

終わりに

いかがでしたでしょうか?

 

社会人大学院を検討する上で、そのメリット・デメリットを紹介いたしました。

 

なんだか仰々しく聞こえてしまったかもしれませんが、私個人としては(あえて言うならば)「たかが大学院なんだから、行きたいならとりあえず行っとけば?」と考えています。

 

もちろん、行く以上は真摯に学びに向き合う姿勢が必要だと思いますが、「大丈夫かな、もし迷惑になっちゃったらどうしよう、自分なんかがついてけるかな?」と必要以上に不安になるくらいなら、ドーンと構えて「たかが大学院、別に失敗しても死にゃぁしないし、無理なら休学すりゃいい」と堂々と進学すれば良いと思います。

 

ちなみにそこら辺の話も含めて、社会人大学院生活で「こんなはずでは」と後悔しないためのポイントをこちらの記事にまとめています。

 

 

  

     

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