薬剤曝露シリーズ⑤ 曝露の誤測定がもたらすバイアスの方向と大きさについて

こんにちは、すきとほる疫学徒です。

 

曝露の誤測定についてはこれまで幾つかの記事で紹介してきました。

それらの記事は曝露の誤測定が結果に与える影響をコンセプチュアルに説明することに注力していましたが、「実際に数字を見た方が、曝露の誤測定のインパクトがよく伝わるだろう」と思い、今回の記事を執筆するに至っております。

 

こちらでは、以下の論文をもとに様々な条件下での曝露の誤測定が、薬剤がアウトカムに与える因果効果をどう歪めてしまうかと言うことを、実際の数字を眺めながら考えていきたいと思います(以下、参考文献と称す)。

Hempenius M, Groenwold RHH, de Boer A, Klungel OH, Gardarsdottir H. Drug exposure misclassification in pharmacoepidemiology: Sources and relative impact. Pharmacoepidemiol Drug Saf. 2021 Dec;30(12):1703-1715. doi: 10.1002/pds.5346. 

 

なお、本記事中には上記論文の図表が引用されておりますが、上記論文はオープンアクセスであり、誰でも閲覧可能であることを確認した上で、図表の引用をおこなっております。

   

また、曝露の誤測定に関しては以下の記事でも説明しておりますので、本記事と併せてお読みいただけると、より理解を深めて頂けると思います。

 

 

 

・非差異的誤分類における曝露の誤測定によるバイアスの影響
・差異的誤分類における曝露の誤測定によるバイアスの影響
・曝露における様々なパラメーターの変化とバイアスの影響

 

 

本ブログは、私が業務上知り得たいかなる情報にも基づかず、一般論もしくは広く公開された情報のみに基づき執筆されています
本ブログは、私個人の責任で執筆され、所属する組織の見解を代表する物ではありません

 

 

研究の概要

本研究は”データソースとして処方データを用いた際に生じる曝露の誤測定が、因果効果の推定において、どの方向に、どれだけのバイアスをもたらすか”ということを検証するため、薬剤処方データベースを用いて行われたシミュレーション研究になります。

 

本研究が非常に面白いところは、「感度X%、特異度Y%ならバイアスが〜になる」といったやや直感的に理解しづらい妥当性指標を持ちいたシュミレーションは行わずに、以下で紹介する曝露者の割合、服薬を遵守しない患者の割合、そしてデータにカバーされないところで薬剤を内服した患者の割合といった直感的に理解しやすい指標をパラメーターとして設定し、シュミレーションをおこなっているところです。

 

そのため、読者からすれば「あー、処方されたけど薬を飲まない人がこれだけいると、こんな具合にバイアスがかかるのね」と、より腑に落ちる形で曝露の誤測定バイアスの危険性を理解することができます。

 

さて、そのような理解を促すために筆者らが使用したパラメーターは、以下になります。 

最初に曝露の誤測定が起こらなかった際の真のリスク比を設定した上で、誤測定の指標として

  1. 曝露者の割合
  2. Nonadherenceの割合(処方されたが内服せず)
  3. Uncaptureの割合(データベース上は処方なしだが、OTCなどそれ以外で薬剤入手)

 

という3つのパラメータを様々に変化させることで、曝露の誤測定によって観察されたリスク比が真のリスク比と比べてどう変化するかということをシュミレートしていきました。

ちなみに”曝露の誤測定”と言うと、ついつい「処方されたけど内服しなかった」という偽陽性に目がむきがちですが、「非処方と見做されたが、実は内服していた」という偽陰性もパラメーターとして考慮しているのがポイントですね。

 

 

この3つのパラメーターを具体的に説明したのが、こちらの図です。

参考文献より抜粋

 

 

まず、一番最初の分岐が”曝露者の割合”です。

このイメージ図では、曝露割合を10%としていますね。

さて、注意せねばならないのが、ここで「曝露者=実際に薬を内服した人」と理解してしまうと、ミスリードであるという点です。なぜなら、10%の曝露者の中にも”Does not use drug”である対象者が存在しているからです。

私も最初、ここが分からずに混乱していました。

この論文での筆者らが定義する曝露割合とは、薬剤を内服したという意味での曝露ではなく、上の図に書いてある通り”その薬剤の適応対象であり、処方を受けた患者”と理解した方が良いでしょう(Indication for drug)。

 

 

次の分岐(Indication for drugの下)が”Uncaptureの割合”です。

Uncaptureとは、これはデータ上は曝露と定義されないものの、実際には何らかの手段で薬剤を入試して曝露している対象者の割合を意味し、例えば患者が診療報酬請求データには記載されない市販薬や、友人から貰った薬などを使用した場合が該当します。

上記のイメージ図では、Uncaptureの割合を20%と設定しています。

つまり、処方を受けた患者(exposed patients)のうちの20%がデータには記載されていないルートで薬剤を手に入れていたということになります。

 

 

最後の分岐が”Nonadherence”の割合です。

Nonadherenceは、処方を受けた対象者のうち、実際には薬剤に暴露しなかった対象者の割合を指します。

上記のイメージ図では、Nonadherenceを40%と設定しています。

つまり、処方を受けた患者のうち40%は薬剤を実際には内服しなかったと言うことになります。

 

 

これら3つの分岐を経た結果、患者は以下の4パターンのいずれかに分類されました。

  1. True positive (データ上で薬剤曝露と定義され、真に内服した患者)
  2. False positive (データ上で薬剤曝露と定義され、真に内服しなかった患者)
  3. True nagative (データ上で非薬剤曝露と定義され、真に内服しなかった患者)
  4. False negative (データ上で非薬剤曝露と定義され、真に内服した患者)

 

これにより、感度・特異度が計算できるようになりました。

 

イメージ図の数字を使用すると、

感度 = True positive/(True positive + False negative) = 48/(48 + 12) = 0.80

特異度 = True negative/(True negative + False positive) = 908/(908 + 32) = 0.966

 

ですね。

 

 

これで、これから説明するシュミレーション結果を理解するための土台ができました。

 

 

さて、筆者らは曝露割合、Uncapture、Nonadherenceの3つのパラメーターを操作することで、真のリスク比に対して観測されたリスク比がどれほど歪んでしまうのかというバイアスの方向と大きさを測定することを目指します。

シュミレーション、以下3つの仮定の下でそれぞれ行われました。

 

 

非差異的な誤分類(非使用者との比較)

非差異的な誤分類とは、曝露群と非曝露群においてそれぞれ同程度に曝露の誤分類が発生している状況です(より正確な言い方をすると、”アウトカムのリスク因子である変数が、曝露の誤測定に影響していない状況”です)。

そして、リスク比算出のための比較群は”いずれの薬剤も使用していない患者(Non user)”としました。

 

この状況で筆者らは、

  1. 曝露者の割合:1%/10%/25%
  2. Nonadherenceの割合:10%/25%/50%
  3. Uncaptureの割合:10%/25%/50%
  4. 真のリスク比:1.25/2.0/5.0

とパラメーターを変動させています。

 

 

差異的な誤分類(非使用者との比較)

差異的な誤分類とは、曝露と非曝露群において異なる程度で曝露の誤分類が発生している状況です(”アウトカムのリスク因子である変数が、曝露の誤測定に影響している状況”)。

例えば、薬剤Aとアウトカムである30日以内死亡の関連を見る際に、年齢は30日以内死亡のリスク因子であり、かつ年齢の高い患者ほど曝露の誤測定(Nonadherence & Uncapture)が発生するという状況ですね。

 

そして、リスク比算出のための比較群は非差異的な誤分類同様に”いずれの薬剤も使用していない患者(Non user)”としました。

 

この状況で筆者らは、真のリスク比を1.0、曝露者の割合を10%、さらに誤分類の原因となる変数Xのコホートにおける保有割合を50%と固定した上で、

  1. 変数Xの有無によるリスク比:1.5/2.0
  2. Nonadherenceの割合:0-100%
  3. Uncaptureの割合:0-100%

とパラメーターを変動させています。

 

 

非差異的な誤分類(使用者との比較)

最後のシュミレーションでは、最初のシュミレーション同様に非差異的誤分類を条件にしていますが、こちらでは比較群を非使用者ではなく、他の薬剤の使用者としています。

 

つまり、これまでターゲット薬だけで起きていたNonadherenceとUncaptureが、比較群でも同様に発生するという状況下でのシュミレーションです。

なお、ターゲット薬および比較薬は、双方が非使用者に比べるとアウトカムの発生リスクを増加させると仮定され、一方でターゲット薬と比較薬を比較した際の真のリスク比は1.0と設定されています。

また、ターゲット薬および比較薬それぞれでのNonadherenceが発生した場合は、患者は薬剤の非使用者であると仮定され、比較相手の薬剤にカテゴライズされることはないとしています(e.g., ターゲット薬の患者がNonadherenceの結果、比較薬を内服することはなく、単に非使用者となる)。

 

薬剤の曝露者割合は、それぞれの群で10%で固定されています。

 

この状況で筆者らは、

  1. Nonadherenceの割合:0-100%
  2. Uncaptureの割合:0-100%

とパラメーターを変動させてています。

 

 

 

以上で研究の概要の説明は終わりです。

次の項では、それぞれのシナリオにおいて、曝露の誤測定がリスク比にどのような影響を与えるかを見ていきましょう。

 

 

 

 

シュミレーション結果とその考察

非差異的な誤分類(非使用者との比較)

参考文献より抜粋

 

こちらがシュミレーション結果です。

 

項目は、左から順に”真の曝露患者割合”、”Uncaptureの割合”、”Nonadherenceの割合”、”感度”、”特異度”、”真のリスク比が1.25の時の観測されたリスク比と変化率”、”真のリスク比が2.0の時の観測されたリスク比と変化率”、”真のリスク比が5.0の時の観測されたリスク比と変化率”となっています。

 

この表から、非差異的誤分類において以下のことが分かります。

①曝露の非差異的誤分類は観察されたリスク比が1.0に近づく一方向のバイアスを起こす(Bias toward the null)
②基本的にNonadherenceはUncaptureよりも強くバイアスに影響する
③Uncaptureによるバイアスは曝露割合の増加により増強するが、Nonadherenceによるバイアスは増強しない

 

①の定理に関しては、上の表の全てのシナリオにおいて、観察されたリスク比が真のリスク比よりも1.0に近づいていることが確認できるでしょう。

 

②の定理について言えば、  例えば曝露割合10%、真のリスク比2.0のシナリオを例にとってみると、Nonadherenceが発生せず(=1)、Uncaptureが25%の時には観察されたリスク比は1.95となり、真値からのズレは-5.3%となっています(上から2つ目のグループの、RR2.0の列を見てください)。

一方、同じ条件でUncaptureが発生せず(=1)、Nonadherenceが25%の時には観察されたリスク比は1.75%となり、真値からのズレは-25%と大きなバイアスが発生しています(上から5つ目のグループの、RR2.0の列を見てください)。 

このことから非差異的誤分類の仮定下では、UncaptureよりもNonadhereneceによる曝露の誤分類に注意して曝露定義を設定しなければならないと言えるでしょう。

 

なお、薬剤疫学の分野では曝露割合>非曝露割合となる状況はあまり発生しないので、以下の図はあくまでも思考実験のためのシュミレーションですが、曝露割合が一定値を超えた時点から、NonadherenceよりもUncaptureがバイアスに強く影響するようになります。

 

参考文献より抜粋

 

ご覧の通り、曝露割合がだいたい50%よりも低い範囲では(X軸の0.5あたりの左側)、実践(Nonadherence 25%)の方が転戦よりも観察されたリスク比の真値からのズレが大きくなっています。

一方、曝露割合が50%を超えてくると(X軸の0.5あたりの右側)、この関係性が逆転していますね。

 

 

なお、非差異的誤分類の仮定下では、薬剤の有効性ではなく安全性をアウトカムにした研究を行う際に特に注意が必要です。

上記のシュミレーションのように、非差異的誤分類においてはパラメータを問わず、リスク比が1.0に近づく、つまり「非使用者と比べて、使用者では有害事象の発生頻度が高いとは言えない」という結論に向かうようにバイアスが働きます。

その結果、実際には有害事象のリスクを上昇させる薬剤を「安全」と判断してしまうという、極めて大きな負のインパクトをもたらしかねません。

 

 

 

差異的な誤分類(非使用者との比較)

 

参考文献より抜粋

 

参考文献より抜粋

 

こちらがシュミレーション結果です。

 

差異的誤分類においては、「アウトカムのリスク因子の有無により、曝露の誤測定の大きさが異なる」という条件が成立するため、図ではこれを表現するためにX軸・Y軸にリスク因子あり・なし群を置き、それぞれでの誤測定の大きさをプロットしています。

上下の図は上から順に、パラメーターとしてUncaptureの割合、Nonadherenceの割合を変動させたシミュレーションです。なお、同じグループで右と左に図が2枚あるのは、リスク因子の有無によるリスク比を1.5/2.0の2通りとしているからですね(リスク因子ありの群は、なしの群と比較してアウトアムの発生リスクが1.5/2.0倍となる)。

そして、図中の4本のラインは、観測されたリスク比が0.8/0.9/1.10/1.25となる時のリスク因子ありなし群それぞれでのUncapture/Nonadherenceの値の組み合わせです。

なお、繰り返しになりますがこちらのシュミレーションにおいては曝露群と非曝露群を比較した際の真のリスク比を1.0としています。

 

 

これらの図から、差異的誤分類において以下のことが分かります。

①差異的誤分類はリスク比が1.0から離れる方向にバイアスを起こしうる(Bias away from the null)
②そのバイアスは、リスク比が真値よりも大きくなる方向にも、小さくなる方向にも起こりうる
③UncaptureもNonadherenceもバイアスに同程度の影響を与える
④リスク因子がアウトカムに与える影響が大きいほど、曝露の誤測定がバイアスに与える影響が増強する

  

上3つは図を見てもらえれば分かると思うので、④の定理についてのみ解説します。

 

こちらはリスク因子の有無に対してのアウトカム発生のリスク比を1.5/2.0/5.0/10.0と4通り設定した際に、リスク因子あり群、なし群でそれぞれUncaptureの値を変化させたシュミレーションです。

参考文献より抜粋

 

ご覧の通り、リスク因子の有無によるアウトカム発生のリスク比が大きくなるほど、それぞれの線が中央に寄っている、つまりより小さなUncaptureの割合でも観察されたリスク比の真値からのズレが発生するようになったことがお分かり頂けるかと思います。

 

 

 

非差異的な誤分類(使用者との比較)

こちらが最後のシュミレーションです。

非差異的な誤分類を仮定している点は一つ目のシュミレーションと同じですが、こちらのシュミレーションでは比較群を非薬剤使用者ではなく、薬剤使用者とし、両群において曝露の誤測定が発生すると仮定しています。

 

参考文献より抜粋

 

X軸、Y軸はそれぞれ薬剤A、薬剤Bへの曝露者におけるNonadhereneceの割合を指しています。

なお、こちらのシュミレーションではNonadherenceのみパラメーターにしており、Uncaptureに対してのシュミレーションは行われていません(なぜなら、曝露群同士の比較ではUncaptureの割合は曝露群のサンプリングに関与するだけで(Uncaptureとなった患者が比較対象として非曝露群に割り当てられるわけではないので)、バイアスをもたらさないからです)。

薬剤Aと薬剤Bを比較した際の真のリスク比は1.0であり、一方で各薬剤を薬剤非使用者を比較した際のリスク比は左図、右図で1.5/2.0とされています。

 

これらの図から、非差異的誤分類の仮定の下、薬剤使用者同士の2群比較を行った際に生じる誤測定バイアスとして、以下のことがわかります。

①Uncaptureはバイアスをもたらさない
②非差異的誤分類であっても、薬剤A群とB群でNonadherenceの割合が異なると、Bias away from the nullが生じる(なお参考文献によれば、曝露のカテゴリーが複数ある場合には(薬剤A、薬剤B、非使用者)、bias away from the nullだけでなく、bias toward the nullも発生しうるということが報告されています。)
③しかし、臨床的に意味のあるバイアスが生じるには、両群のNonadherenceの差異が大きくなければならない

  

こちらも③の定理のみ解説します。

例えば、左図において観察されたリスク比が1.10となるためには、両群におけるadherenceの割合が、左図においては80%と55%、そして右図においては80%と64%である必要があります(図ではAdherenceではなくNonadherenceをプロットしているので、100%からそれぞれの割合を引いた値が該当します)。

 

薬剤使用者同士で群間比較を行う際には、適応による交絡を避けるため、通常は同クラスの類似した薬剤同士で比較を行いますので、それらの薬剤間でNonadherenceにこれだけ大きな差が出るのというのは中々考え難いでしょう。

よって、薬剤使用者同士の2群間比較においては、非差異的誤分類の仮定下であれば、曝露の誤測定が与えるバイアスの影響は大きくはないと考えられます(2群間でのAdherenceに大きな差が想定される場合を除いて)。

 

しかしながら、この結果は”薬剤の2群比較において、わずかな曝露の誤測定も大きなバイアスに繋がる”という先行研究の結果と一致していない、と参考文献の筆者らは述べており、その理由を以下のように考察しています

それは、「感度・特異度をベースに曝露の誤測定のインパクトをシュミレートしていた先行研究では、実臨床では起こり得そうもない感度・特異度を設定していたから」からです。

 

例えば、参考文献中で引用されている以下の論文は、感度90%、特異度90%という数値を用いて曝露の誤測定がもたらすバイアスを測定しました。

Brenner H. Inferences on the potential effects of presumed nondifferential exposure misclassification. Ann Epidemiol. 1993 May;3(3):289-94. doi: 10.1016/1047-2797(93)90032-y. PMID: 8275202.

 

しかし肝心なのは、例えばこの ”特異度90%”という状況が、実臨床でどのような曝露の誤測定が起きた時に観察されるかということでしょう。

現実的な数値として曝露割合を10%と仮定すると、この時に特異度が90%まで低下するために必要なNonadherenceの割合は50%と非常に大きくなります。

実臨床の観点からは、薬剤を処方された患者のうち50%もが内服に至らないとは考えられないでしょう。

 

私も今回紹介している参考文献を読むまでは、「感度X%、特異度Y%」という見方でした誤測定の大きさを考えておらず、筆者らがやっているように「それが実際に起こりうるには、実臨床でどの程度のNonadherence、Uncaptureが必要か」という現実的な視点で考察してこなかったことに気づきました。

 

その意味で、私は本論文の意義は非常に大きいと考えています。

 

 

 

 

終わりに

いかがでしたでしょうか?

 

今回は、感度・特異度といったよく用いられる指標ではなく、Nonadherence・Uncaptureというより実臨床に即した曝露の誤測定の指標を用いて、非差異的分類、差異的分類、非差異的分類(薬剤使用者間の比較)という3つの状況下で、曝露の誤測定が与えるバイアスの大きさについて解説してきました。

 

要約しますと、

・非差異的誤分類では曝露の誤測定はBias toward the nullに繋がり、差異的誤分類ではBias toward/away from the nullのどちらにも繋がりうる
・3つの状況下全てで、曝露の誤測定が臨床的に意味のあるバイアスをもたらすには、比較的高いNonadherence、Uncaptureが必要

ということが言えるかと思います。

 

曝露以外にも、コホートを形成する変数、共変量、アウトカムなどの全ての変数に関して言えることですが、単に「誤測定バイアスがある」というだけではなく、「そのバイアスがどのようなメカニズムの誤測定により発生し、その方向、大きさはどの程度であるか」ということまで考え尽くすことが重要だと改めて気付かされました。

 

長くなりましたが、本日もお読みくださりありがとうございました。

 

 

 

 

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