こんにちは、すきとほる疫学徒です。
本日は、無料で学ぶことのできる疫学・統計学のオンラインコースを紹介していきたいと思います。
素晴らしい時代になったものですね。。。
ちょっと前の時代には、疫学・統計学などのPublic Healthの専門知を学びたければ、公衆衛生大学院に進学するか、自力で書籍を読むかという手段しかなかったはずです。
それが、こうしてオンラインで世界中の有名講師のコースワークを無料で、いつでも、誰でも、どこでも受けられるようになるなんて。
もちろん、こうしたオンラインのコースワークと公衆衛生大学院のような学位ベースのコースワークでは、一口に疫学・統計学といっても学びの深度は大きくことなっております。
ですので、そうした学位ベースのコースワークを受けずに、無料のオンラインコースだけで疫学・統計学の専門家として活動するだけの知識を身につけるのはやや厳しいかもしれません。
しかしながら、オンラインコースのターゲットはそこにあるのではなく、
・疫学、統計学に強い関心があり、「どのような学問なのか」知るために触れてみたい
という方こそがメインのターゲットになってくるでしょう。
無料オンラインコースが登場する以前、つまり疫学・統計学を学ぶにはいずれかの大学院に進学するという大きな一歩が必要だった時代には、上記のようなモチベーションを持った方々が疫学・統計学の基礎に触れるには大きなコストがかかっていたと思います。
それが、無料のオンラインコースの登場により、「まずライトに触れてみる」というスモールステップを刻めるようになりました。
とはいえ疫学・統計学の専門家でもないと、世に溢れる無料のオンラインコースのうち一体どれを受講すれば良いのか、判断するのは難しいですよね。
というわけで今回は、すきとほる疫学徒の目線から「これは良い!」と思った無料オンラインコースをご紹介していきたいと思います。
- 1 エレベーターのブザーは鳴るか ー大学生のための統計学入門 (初心者向け)
- 2 オオサンショウウオ先生の医療統計セミナー(初心者〜中級者向け)
- 3 臨床研究者のための生物統計学 (初心者〜中級者向け)
- 4 因果推論 (上級者向け)
- 5 Causal Diagrams: Draw Your Assumptions Before Your Conclusions (中級者向け)
- 6 統計数理研究所 疫学・公衆衛生統計 (中級者〜上級者向け)
- 7 日本臨床疫学会 NDB・DPCデータベース研究育成人材〈短期集中セミナー〉 (初心者〜中級者向け)
- 8 佐藤俊太朗先生のYoutubeチャンネル (中級者〜上級者向け)
- 9 臨床疫学研究推進機構 セミナー (中級者〜上級者向け)
- 10 新谷歩先生のYoutubeチャンネル (中級者〜上級者向け)
- 11 ICR臨床研究入門 (中級者〜上級者)
- 12 終わりに
- 13 すきとほる疫学徒からのお願い
エレベーターのブザーは鳴るか ー大学生のための統計学入門 (初心者向け)
生物統計学の超人気講師オオサンショウウオ先生こと田中司朗先生による講義です。
京都大学が開講する専門職学位課程(MPH)である臨床統計家育成コースからの公開講座とのことで、こちらは文字通り「公衆衛生大学院に行かずとも、疫学・統計学の基礎を学べる」ということを体現したコースでしょう。
統計学の無料オンラインコースといっても、その難易度は様々ですが、こちらのコースでは記述統計学という統計学の基礎の基礎を、13本の動画で丁寧に解説しているため、「統計学ってなに?初めて学ぶけど、難しくないかなぁ」という方は、ぜひこちらのコースから始めることをお勧め致します。
統計学と聞くと、小難しい話を連想して嫌な気持ちになってしまいそうですが、こちらのコースでは、
・統計で容疑をはらす
・エレベーターのブザーは鳴るか
・地球の大きさを測る
といった、ちょっとクスッとしてしまうようなストーリーをベースに、統計学の基礎である記述統計学を解説してくださるので、初心者さんにとって取っ付きやすいこと間違いなしです。
ちなみにオオサンショウウオ先生こと田中先生は、こちらのような書籍もご出版されており、上記のオンラインコース同様にとっても楽しく統計学が学ぶことができます。
内容はやや中級者向けのものになっているため、今回の記事で紹介している統計学の無料コースを一通り受講されて、その上で「もっと疫学・統計学が知りたい!」とお感じになられたら、手にとってみると良いかもしれません。
ただ、希望する難易度と書籍の実際の難易度のミスマッチを避けるため、実際に書店で手に取られて、「これなら読める!」ということをご確認されてから購入した方が安全です。
短期集中!オオサンショウウオ先生の 糖尿病論文で学ぶ医療統計セミナー〜疫学研究・臨床試験・費用効果分析
オオサンショウウオ先生の医療統計セミナー(初心者〜中級者向け)
先ほど同じく、京都大学よりオオサンショウウオ先生の講義です。
先程の講義が記述疫学という初心者向けの講義内容だったのに対し、こちらは中級者向けの解析疫学に関する講義となっています。先ほどのコースを受講され、「もっと疫学・統計学を勉強したい!」という気持ちのある方は、次に手を伸ばすことをおすすめします。
こちらは全48時間と、やや大作となっております。
こちらの講義では、実際に量的な医学研究で使われている疫学・統計学手法が体系的に解説されており、こちらの講義を受講すれば、医学論文に頻繁に登場する基礎的なコンセプトはざっと抑えることができるでしょう。
しかしながら、これらの講義内容をがっつり学ぼうと思えば、修士2年+博士3年をかけてもおかしくない内容です。
おそらくこの動画だけを見ても、消化不十分なところが多々あるでしょう。
私の個人的な意見としては、恐らくこの講義の提供者側である京都大学、そして田中先生ご自身も「この講義で疫学・統計学をすべからく理解してほしい」とは全く思っていないはずです。
なので、もし皆さんがこちらのコースを受講されて、「全然わからなかった」とお感じになったとしても、全く心配することはないと思います。
あくまでも本コースの目的は「疫学・統計学の体系的な知識にさらっと触れる」くらいだと位置付け、「なるほど、詳しくはよくわからんけど、医学研究をやるにはそういう知識が必要なんだってことは分かった」ということだけでも理解できれば、十分に目的達成だと私個人は思います。
その上でより深い知識を身に付けたければ、書籍を読むなり、公衆衛生大学院に進学すれば良いのです。
また、こういった専門的なことを考えるために我々のような疫学・統計学の専門家が存在するわけですので、実際に皆さんが研究をされる際には、疫学・統計学の専門家にコンサルしてしまえば良いと思います。
その際に、共通言語として疫学・統計学の基礎知識を持っていた方がコミュニケーションがとりやすいという意味でも、本コースの意義は大きいでしょう。
臨床研究者のための生物統計学 (初心者〜中級者向け)
再びふたたび、京都大学がお送りする無料オンラインコースであり、大人気講師オオサンショウウオ先生はやっぱりこちらにも登場しております。
ただ、こちらはオオサンショウウオ先生以外にも複数の生物統計家の先生方が登場されており、特に講師の一人である佐藤俊哉先生もオオサンショウウオ先生同様に非常にご高名な先生でいらっしゃいます。
みな生物統計という同じ専門性を持つ先生方だとしても、それぞれの授業の雰囲気は大きく変わるかと思いますので、もし「オオサンショウウオ先生の講義はちょっと私には合わなかったな」という方も、こちらのコースでは「この先生面白い!」というオキニな先生を見つけられるかもしれません。
疫学・統計学を学ぶとっかかりなんて何でも良いと思いますので、「この先生の話おもしろい!もっと聴いてみよう」と感じることのできる先生に出会えたなら、その先生の他の講義を探す、書籍を読む、何なら直接連絡して研究室で勉強できないか相談してみるなど、そうやって学びを掘り下げていけば良いのだと思います。
こちらのコースは、どの動画も約1時間とがっつり説明の時間をとっておりますので、これまで紹介してきた動画だと「シンプルに教えてくれるのは嬉しいけど、もうちょっとゆっくりそれぞれのコンセプトを深掘りしていきたいな」という方は、ぜひこちらのコースを受けられることをお勧めします。
特に、
・仮設検定とP値の誤解
・ランダム化ができないとき
・交絡とその調整
・回帰モデルと傾向スコア
と題された講義たちは、Real World Dataを使って観察研究を行う方には必須の知識が解説されています。
どの講義も具体的な事例や数字とともに、難解な疫学・統計学の知識を非常に分かりやすく解説してくださっていますので、強くお勧めなコースです。
余談ですが、田中先生がオオサンショウウオ本を出していたように、佐藤先生はこちらのしまりす本を出しており、統計学の初学者の方に大変な人気を博しています。
こちらは読み物形式で、読者に寄り添うように統計学の解説をしてくださっており、ほんとにほんとの初心者さんや、疫学・統計学に苦手意識を持っている方にお勧めです。
因果推論 (上級者向け)
同じく京都大学から田中先生のオンラインコースです。
こちらはgaccoという無料のオンラインコースを提供するプラットフォームに掲載されているのですが、もしかすると現在は登録期間を過ぎてしまっているので、視聴できないようになっているかもしれません(できる可能性もあるので、ぜひgaccoのホームページから直接アプライしてみてください)。
私は期間内に登録できたため、現在も動画を視聴できるのですが、Youtubeでは限定公開になっています。
しかしこうしたオンラインコースのプラットフォームは、定期的に同じコースを開講し、登録を募ってるので、こちらもしばらくすればまた開講されるのではないかと思っています。
ただ、こちらのコース、かなり難解です。
これまで紹介してきたコースは疫学・統計学の初心者・中級者向けでしたが、こちらは公衆衛生大学院でがっつり疫学・統計学の知識を身に付けたことを前提にして進められるコースのように感じました。
全体の最初3分の2は、数式とともに田中先生がガンガン飛ばしていきます。
私個人としては、この最初3分の2部分は、統計家でない限りはややオーバースペックな学びだと思っていますので、非専門家の方が理解する必要はないと思います。
統計家にコンサルすることを踏まえて、「統計家って、こういう難しいこと考えながら統計解析やってんのね」くらいの認識で良いと思います。
一方で、第3週から始まるRubin因果モデルの講義はぜひゆっくりと時間をとり、受講されることをおすすめします。
本コースのタイトルでもある因果推論は、医学研究を行うものにとっては必須の基礎知識ですが、残念ながら日本語で解説した講義は、(オンラインの無料コース、公衆衛生大学院の授業を問わず)多くありません。
そんな中で、こちらのコースは因果モデルの基礎知識を教えてくれる貴重なコースとなっています。
しかしながら、最初3分の2と同様に、やっぱりこちらも上級者向けの内容となっておりますので、以下の書籍などで因果推論の知識を一通り身に付けた後に視聴することをお勧め致します。
Causal Diagrams: Draw Your Assumptions Before Your Conclusions (中級者向け)
因果推論の世界で世界的に有名な研究者、ハーバード大学のMiguel Hernán先生によるオンラインコースです。
上記の田中先生のコースはやや難解さがありましたが、こちらはめっちゃくちゃ、めっちゃくちゃ分かりやすいです(コースのスコープが違うだけですので、どちらが良い悪いということではありません)。
「因果推論って何?」
「ちょっと勉強してみたい」
という方は、まずこちらのコースを受講されることを強くお勧めします。
当然ながら全編英語ですが、Hernán先生がとってもクリアに話してくださるのと、英語字幕をつけられるのと、あと動画のスピードを低下させられることもあり、高校英語の知識さえあれば、そこまで抵抗感なく受講することができると思います。
それに、イラストベースで説明してくれるため、視覚的な理解も促され、右脳と左脳の両方から因果推論を学ぶことができるでしょう。
自宅にいながら、無料でハーバードのトップサイエンティストから授業を受けることができるなんて、なんて贅沢な時代なんでしょうか。。。
なお、英語に抵抗がない方は、CouseraやedXといったグローバルレベルの無料オンラインコースプラットフォームを使い、世界中の有名大学の疫学・統計学に関するコースを受講することができます。
日本語のコースよりも圧倒的に触れられる情報量が多いため、ぜひチャレンジしてみると良いでしょう。
Coursera
edX
統計数理研究所 疫学・公衆衛生統計 (中級者〜上級者向け)
統計数理研究所が毎年開講する全9回のコースです。
超人気講師が日本中から集まっており、これ普通に受けたら20万くらいするセミナーだと思うのですが、なんと毎年無料で開講されています。。。
価格崩壊です。。。
しかしながら、上の写真にある通り200名の定員制でして、毎年受講登録戦争が勃発しています笑。
私も何度か申し込んでいるのですが、華麗に外れており、確か先着順ではなく、抽選となっていたはずです。
2021年の開講状況を見ると、2022年も年末に開講になるのかなぁと思いますが、皆さま受講登録戦争に勝ち抜くために、ウォーミングアップしておかれると良いかもしれません(何を)。
なお、こちらの統計数理研究所は上記の大型コースに加えて、以下のように定期的に単発でのオンライン無料コースを開講しております。
大型コースと同様、どれも一流の講師陣を招いており、お金を払ってでも受けたい講義ばかりだと思います(でも無料。。。)。
やや発展的で、疫学・統計学の基礎をおさえた方が「各論をもっと詳しく学びたい」というモチベーションで受講されるものだと思うので、ひとまずは目玉コースの疫学・公衆衛生統計を終えられてからご参加されると良いと思います。
いつ各講義の申し込みがスタートするかは私には分からないのですが、こちらのPeatixで統計数理研究所をフォローしておけば、通知をくれるようなので、ぜひフォローされてみてはいかがでしょうか?
ちなみに次回は「ICH統計ガイドライン その背景と改訂」が2月17日に開講されるようですが、勿論のこととっくに満席になっておりました。。。
また、ここからは一部の方限定でアクセスがある統計数理研究所のe-learningですが、どうやら以下のように医療健康データ科学研究ネットワークの加盟団体の構成員であると、無料のe-learningを受講できるようです。
私は加盟団体の所属ではないので、講義の内容を確認できなかったのですが、どうやら企業から大学、研究所までけっこうな数の団体が加盟しているようで、もしかすると「あ、知らんかったけど、私の企業・大学も加盟してるんだ」という方もいると思います。
無料の公開講座同様、こちらもきっと素晴らしい講義が揃っているかと思いますので、ぜひぜひ以下のリンクから加盟団体のチェックをしてみてくださいませ。
日本臨床疫学会 NDB・DPCデータベース研究育成人材〈短期集中セミナー〉 (初心者〜中級者向け)
Real World Data、特に医療大規模データベースを使った研究を盛んにおこなっている日本臨床疫学会が毎年開講している無料セミナーです。
東京大学の康永秀生先生の研究室(公共健康医学専攻 臨床疫学・経済学)が中心となり運営されておりますが、超超超超超超超人気のセミナーで、現地開催された2019年のセミナーでは日本全国から参加者が集まっていました。
また、こちらは確か抽選制ではなく、先着順での申し込み締め切りだったため、たいへんな受講登録戦争が勃発していたと思います。
人気アーティストのコンサートばりに、登録開始前からパソコン前に正座待機して、登録開始直前にF5ボタンを押し続け、それでもかろうじて登録できるかどうかではないでしょうか。
人気の理由は、その分かりやすさ、そして実践力の高さにあります。
こちらは2020年のセミナー概要ですが、ご覧の通り、
・それぞれの医療大規模データベースの説明
・疫学研究で使われる手法の詳細な解説
という2本立てになっており、この一連の夏期セミナーを受講するととで、「医療大規模データベース研究の基礎が一通り身に付く」といっても過言ではないと思います。
また講師陣も素晴らしく、どなたも医療大規模データベース研究において素晴らしい論文を数多く出版されている方ばかりで、なんと贅沢な時間でしょうか。。。
おまけに、現地開催されていた2019年、2018年の回では、RやStata、SQLやSPSSといった医療大規模データベース解析に必要な統計ソフトのハンズオンセミナーが開講されていました。
巷では、これらのセミナーを受講するにはうん万円から十うん万円支払わねばならないようなものもあるのですが、そういった専門技能を無料で、しかも一流の講師陣から教わることができ、心から感動しております。
佐藤俊太朗先生のYoutubeチャンネル (中級者〜上級者向け)
安心と信頼の生物統計家、佐藤俊太朗先生、そして佐藤先生と一緒にお勉強されている方々による疫学・生物統計学の解説動画です。
トップ3本は佐藤先生による講義でして、それ以降は「Causal Inference: What If」という書籍の輪読会の様子を発信してくださっています。
こちらの「Causal Inference: What If」は因果推論を学ぶ方にとってのバイブルのような書籍で、先に紹介したハーバード大学のMiguel Hernán先生がご執筆されています。
えー、そしてなんと、この本、ネットで無料で読めます。。。
医学研究の基礎の基礎である因果推論を学ぶ上では欠かせない本ですので、ぜひご一読されることをお勧めします。
ただ、「専門家でもねーのに、英語の学術書なんて読みたくないよ!」という方ももちろんいらっしゃると思います。
そんな時は、佐藤先生のYoutubeチャンネルで公開されている「Causal Inference: What If」の輪読会動画をご覧になると良いでしょう。
もちろん、自分で一読した上で動画を視聴した方が深い学びを得られることに変わりはありませんが、それでも因果推論の基本的な考え方を触っていくくらいでしたら、十分にこちらの動画で対応できると思います。
また、「自分で読んだけれど、ちょっと分からないところがあった」という方も、こちらの動画が各章を分かりやすく解説してくれているので、自分の理解チェックとしてもお勧めです。
ちなみにこちらは佐藤先生のツイッターですが、質問箱を活用してさまざまな統計初心者さんからの質問に大変丁寧にご回答されており、まさに統計初心者のご意見版のような感じです。
専門家へのコンサルですから、本来はお金をとってしかるべきところを、こうして善意で無償対応されている佐藤先生のお姿を見て、私も日々専門家としてのあり方を勉強させて頂いております。
臨床疫学研究推進機構 セミナー (中級者〜上級者向け)
臨床疫学、リアルワールドデータのご専門家である奥村泰之先生が運営される臨床疫学研究推進機構が提供するセミナーです。
ちなみに、私の知る限りでは奥村先生は(企業による利活用も解禁されたため)今をときめくNational Databaseを使用した論文を、日本で最もご執筆されている研究者の一人で、非常に豊富なご実績をお持ちです。
臨床疫学研究推進機構のセミナーは無料ではないものの、学生料金500円と超良心価格でセミナーを提供してくださっており、もはや満足感を思えば学生無料みたいなもんだろと私は勝手に思っております*。
*費用を払うことで生徒側のモチベーション向上に繋がりますし、何より専門性に対しては正当な対価を支払ってしかるべきだと思うので、私は「無料が良い」とか「無料にすべきだ」とは全く思っておりません。しかるべき専門性にしかるべき対価を払うというのは、非常に健全だと考えています。
第一回、第二回は上記でご紹介した佐藤俊太朗先生による講義でした。
どちらも数百人もの参加者が集まっており、佐藤先生、奥村先生への専門家としての信頼の高さが反映された結果なのでしょう。
また、テーマも「臨床疫学を行う上では必須だけれども、なかなか分かりやすく解説してくれた書籍、セミナーが存在しなかった」ものをテーマとして選ばれており、非常に貴重な機会だと思います。
新谷歩先生のYoutubeチャンネル (中級者〜上級者向け)
こちらは恥ずかしながら私も知らなかったのですが、Twitterでいつも薬剤疫学の情報交換をさせて頂いている@rk_seamlessさんに教えて頂きました。
開けてびっくり、超優良動画が大量に公開されていました。
一つ一つの動画に丁寧にパワポを作成し、「え、これどんだけ時間かけてんの」と若干引き気味に感動しております。
新谷先生はアメリカのイェール大学にて統計学を学ばれて、現在は大阪市立大学で医療統計を教えられています。
私自身も自分の復習もかねて、毎日お風呂の中で新谷先生の動画を拝見していこうと思います。
ICR臨床研究入門 (中級者〜上級者)
こちらもツイッターにて@CareerPharmさんから情報提供頂き、私も知りました。
講座一覧を見て「本当に無料なの?!」と半信半疑で登録してみた結果、本当に無料で視聴できました。。。
まだ私自身も部分的にしか確認できておりませんが、
こちらの吉村健一先生は生物統計家として様々な場面でご活躍されておりますし、
こちらの講座は、「論文の書き方」、「研究コンセプトの作り方」といった珍しい切り口からの講義を提供してくれていたり、
そして、生物統計や因果推論に関して素晴らしい論文を数多くご出版され、また統計数理研究所でも因果推論セミナーの講師を務められていた篠崎智大先生の講義を視聴できます。
それ以外にも面白そうなタイトルの講義が山のようにあり、私もひとつ一つどんな内容か調べてみたいと思います。
終わりに
さて以上、無料で、いつでも、どこでも、誰でも学べるオンラインコースを紹介してきました。
私自身はもちろんこれらのコースの存在は以前から知っていましたが、それでもこうして記事に落とし込んでみると、「え、まじでこんな一流の講師の講義が無料で家で受けられるの、やばいじゃん。。。」と改めて感動しております。
今後、我々が使用できる医療大規模データベースは次から次へと生まれ、それに伴い医学研究者には医療大規模データベースを扱うだけの疫学・統計学の知識、解析スキルがより一層問われてくるはずです。
疫学・統計学の非専門家の方であっても、「医療大規模データベースを使った研究を筆頭著者としてやらなければならない」、「共著者として参加せねばならない」、「サイエンティストではなく、プロジェクトマネジメント側として管理せねばならない」という状況がどんどん出てくるはずですので、ぜひこうした無料のオンラインコースを活用し、知識のキャッチアップをおこなっていけると良いですね。
なお、今回はオンラインコースに絞ってご紹介しましたが、こちらの記事では疫学・RWD研究の初心者にオススメの書籍10冊を紹介しておりますので、お時間のある方はぜひ覗いてみってくださいませ。
こんにちは、すきとほる疫学徒です。 本日は、「薬剤疫学を勉強したいけど、どこから始めたらいいの?」、「Real World Dataが流行ってるらしいから、ちょっと勉強してみたい」というほんとにほんとの初心者さんにお勧めの[…]
それでは本日も、ご覧頂きありがとうございました。
私は外資系企業と国立大学の研究者として活動しておりますが、それ以前はブラック企業に勤める社畜として上司に怒鳴られる日々を送っていました。
「強く生きるには専門性だ」
そう一念発起し、大学院の修士課程に通い、そこから2年間で企業研究職してのキャリアにルートインし、2年で年収を1,400万アップさせることができました。
こちらのnoteでは、「専門性が欲しい」と願う方々に向けて、「専門性ゼロから初めて、どのように起業研究職になり、さらに最短最速で出世するか」というノウハウを解説します。
私自身が未経験から2年間で外資系企業の疫学専門家に、さらにそこから1年でグローバルチームの管理職になるまでに積み重ねた経験、ノウハウの全てをお伝えするつもりで書き綴っています。
「これを読めば、企業の専門家として活躍するために必要な知識は全て揃う」
その気合いで、私のノウハウを全てお伝えします。
すきとほる疫学徒からのお願い
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